Tales

ある森の中にぐーぐーとぺこぺこという双子の男の子たちがいました。
男の子たちは、いつもおなかをすかせていていました。
「おなかがすいたね。ぐーぐー」
「おなかがすいたね。ぺこぺこ」
二人は体を寄せあって、すわりこんでいます。

森の中にはたくさんの獣や木の実がありましたが、
二人はそれらを食べるのはかわいそうでずっと我慢していました。
何日も何日も、二人はおなかをすかせていました。それはとてもつらく、さみしい感じがしました。



山のような足が村の真ん中に落ちてきました。とても寝相のわるい巨人がいるのでした。
このままではとても不便だと、村人は巨人を起こそうと声をかけました。
とても大きな体をしているので、小さな村人の声は届きません。
それでは足をどけようと、村人たちはみんなであつまって考えました。



森のふかいふかい奥で少女は出会いました。誰もこないようなさみしい暗い森です。

そこには家のようなおおきなかおがあり、そのまわりを太い髪の毛のようなものが
うねうねと波打っています。かおの半分はくずれたようになっていて、
ぬめっとした目がこちらをじっと見ています。

「どうしてにげないのだ」
「なんでにげる必要があるか」

「わたしが怖くはないのかい」
「どうして怖いものか」

「わたしはおまえをとって食らうこともできるのだよ」
「わたしの父も狐を殺します。鹿を打ち、皮をはぎわたしたちは肉をくらいます。
 何の違いがありましょう」

おおきなかおと少女は友達になりました。



少女はとても瓶が好きでした。

少女が見つめるのは硝子の瓶ばかりで、それは青色だったり緑色だったり、
向こう側の景色が透けて見えるようなきれいなものでした。
大きいものから小さなものまで、少女は起きてから眠るまで、うっとりと眺めているのでした。

やがて少女のつま先は透き通り、硝子のように冷たくなってしまいました。
次に膝が透き通り、柔らかな太股やふっくらとしたお尻が透き通り、
少女の足はすっかり瓶になってしまいました。

驚いた両親は、そんな少女をこっそりと森の中へ捨てにゆきました。
少女は横になったまま、二人の後ろ姿を眺めていました。

やがて日が昇り、日が沈み、雨が降り、葉がカサカサと揺れ、それを何度も繰り返しました。
花が咲き、枯れて、それを眺める少女の瞳は硝子の瓶のように透き通っていました。